[破滅の音]

一見、どこにでもありそうな部屋。
だが、ある人間だけしか立ち入れられない、いや、この部屋の場所なんて最初から‘この者達”しか
知らない部屋。
そこに、これから起こるであろう事態に備え、楽しみに待ち構えている人々が居た。

その中に、ソファーに座っている女の子が窓の外を見ながら愉快に笑みを浮かべながら仲間に話しか
ける。
「そろそろ本番だねぇ。
スキンもいなくなっちゃったし〜、あっちも本気ならこのpoker(ゲーム)を仕掛けた‘こっち”はさ
らに楽しみがいがあるよね♪」
無邪気に笑うその笑みはとてもおぞましく、外見からは感じられない邪悪なオーラを感じさせる。
だが、回りの者は誰も何も感じはしないだろう・・・。
何故・・・?それは
この者達は悪という名の神からさずかった聖印を持ち、世界に破滅の‘音”を狂乱に奏でる‘子羊”
達なのだから・・・------
その側に居た男は、そんな愉快に笑う少女を呆れたように見やる。
「オイオイ・・・そんなにはしゃいでたらエクソシストに殺られるぞ」
否、それは単なるからかいの言葉だった。
それにを聞き、少女はさらに笑う。
「フフ・・・。そんな事言って、本当は怖がっているんじゃないの・・・?ティッキィー」
今度は少女からす少し離れた場所に立っている、服装が派手なパンクファッションの男が少女の言葉
を聞いて笑いながらからかう。
「たしかに、お前は何せ人間と一緒になって群れてるからな〜。その‘同じ種族”の人間を殺すのが
、そろそろ怖くなって怖気づいてるんじゃねーの?」
その男の隣の男も調子に乗り笑い出す。
「ヒッ。怖いんだってよ!」
それを黙って聞いていた男、ティキ・ミックはそろそろ黙っても居られなくなり、不機嫌そうに顔
をしかめながら言う。
「うるせーな。元々は俺たちも‘普通の人間”だろ・・・?第一、ロードだって学校行ってるじゃね
ーか」
それを言われた少女、ロード・キャメロットはまた不適に微笑む。
「そうだけどぉ〜。でも・・・」
「人間だったのは元々であり、‘今は”違うだろ・・・?お前も、オレも、ここにいる全員はよ」
そう、服装が派手な男がロードの言葉を紡いだ。
「まっ、ようするに俺たちは、今から快楽のpokerに参加するってわけだ」
「ヘマするなよ?」
「ヒッ。ヘマするなよ」
「ヘマしたら、スキンみたいになっちゃうんだから・・・♪」
命取りになる言うならば、死のゲームに参戦するというのに、皆は気軽に普通のゲームと同じような
楽しみ方だった。
「さて・・・いくかジャスデロ、行くぞ」
服装が派手な黒髪の男は、隣に居た金髪の同じく派手な服装の男に指示を出す。
「そんなの分かってるさ、デビット。ヒッ」
メイクを直し終わったデビットは、ジャスデロと共に部屋を出て行こうとする。
そんな後ろをロードとティキは、ただ、楽しそうに笑みを浮かべながら見送った。
「今度のゲームは誰が勝つかな・・・」
「さぁ♪」
「もし・・・こっちが負けたらどうする?ロード」
不意を突かれ、ロードは一瞬笑みを消した。
だが、また楽しそうに微笑む。

そんな言葉をこの少女は信じはしないだろう。

自分達の力が、絶対的な力だという自信があるから・・・。

ロードはイスから立ち、女の子らしい短く黒いスカートを揺らしながらクルクルと回り出す。

その姿はとても綺麗で、暗黒的で、どことなく不気味で・・・。

少女が生み出すステップから聞こえてくるコツコツとした靴の音は今、崩壊と破滅の音となり、響き
渡る。

黒に包まれし神の仔よ、その狂乱の狂想曲を奏で続けよ。

世界の白と黒がぶつかりあい、破滅を奏でる音が止まるまで────