あたたかい夢を届けましょう────

ケルティカの広場で、イスピンとティチエル、ミラにレイが集まっていた。
「皆さん、買ってくるものは全部買えました?」
四人とも、それぞれ袋を手にしていた。その中身は果物が入っているものもあれば、粉みたいなものが
沢山入っているものもあった。
ミラは、その袋を大きく持ち上げ、自信一杯の笑みで言う。
「もちろん!予定通り全部買ってきたよ」
それに続いてティチエルも同じ仕草をして、しまいには買ったものの名前を順番に喋り出した。それを
ミラが止める。
「分かったからティチエル。お疲れ様」
レイの方も、私も、と呟いた。こちらも全て買えたらしい。
「そうですか。これで計画通りにまずは進められそうですね。じゃぁこれを持って宿に戻りましょう」
頷き、四人は宿へ向かう。
「ミラお姉さん!お買い物楽しかったんですよっ。途中で少しお金が足りないかなって思ったんですけ
ど、最後におじさんが少しまけてくれたの」
「へぇ良かったな」
「そのおじさんがね、キミのような可愛らしいお嬢さんにお買い物されて心がとても癒されるよ。だって」
「んーそれは良かったんだな・・・」
それ以降もティチエルの話は続き、帰り道も楽しい会話が交わされた。


宿屋で借りた台所に入ると、シベリン、ルシアン、ボリスがいた。
「おかえり。どうだった」
エプロン姿のボリスが駆け寄ってきた。普段目にする事のあまりない格好だったが、似合っていると思えた。
「ちゃんと買えましたよ〜。これで安心です!」
台所で何か準備していたルシアンも側に来た。
「おかえり。早く作ろうよ」
そう言いながら、ティチエルが持っていた買い物袋を取り上げ、上機嫌で台所のテーブルに置いた。
「じゃぁ、ボクたちも作業に取り掛かりましょうか」
「そうだな。マキシミンは何時あたりに帰るって?」
「とりあえず11時は過ぎるとの事ですからゆっくりやりましょう」
今日はマキシミンの誕生日であった。そこで午前中からマキシミンを除いた7人が集まり、買出しや食器
の準備などをしていた。
「これなら寝てもいられるな」
袋をテーブルの上に置きながらイスピンは苦笑する。
「仕方ないですよ、あいつはお酒の為のお金作りなんですから」
「よくもまぁそこまでして酒の為に・・・」
数日前マキシミンは、酒代が底をついてきたからアルバイトをしてくると言い出した。
それで誕生日のはずの今日も、働きに行ってしまったのである。
「自分が誕生日なんて事は忘れてそう」
──今日のうちに、お祝いの言葉ちゃんと言えるかな



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